辞めた人の共通点から学ぶ|ミスマッチ採用を繰り返さない方法

2026.06.25
定着・離職を防ぐ

「またか」と思う瞬間、ありますよね。期待をかけて採用した人が、思ったより早く辞めてしまう。原因を考えても「合わなかったんだろう」で止まってしまい、次にどう活かせばいいのか見えない。退職が続くと、つい「最近の人は」「採用運が悪い」と片付けたくなります。でも、辞めていった人たちをよく見ると、実は似たパターンが隠れていることが少なくありません。感情で振り返るのではなく、事実を並べて共通点を探す。それだけで、ミスマッチの繰り返しは確実に減らせます。今日はその進め方を、経営者の目線で具体的にお話しします。

「人のせい」で終わらせると、また同じ人が辞める

退職が起きたとき、私たちはどうしても個人の問題として記憶しがちです。「あの人は根性がなかった」「うちには合わなかった」。気持ちは分かりますが、ここで分析を止めると、次の採用でも同じ落とし穴にはまります。なぜなら、辞めた本当の原因が、その人個人ではなく「採用の仕方」「任せ方」「受け入れ方」という仕組みの側にあることが多いからです。同じ仕組みのまま採用を続ければ、また似た人が同じ理由で辞めていく。だからこそ、退職を「個人の話」から「自社の仕組みの話」へ置き換える視点が出発点になります。

辞めた人を3つの切り口で並べてみる

分析といっても難しいことはしません。直近で辞めた数人を思い浮かべ、次の3つの切り口で書き出してみてください。記憶だけでなく、面接メモや求人原稿も見返すと精度が上がります。

  • 入社経緯:どんな求人で、何に惹かれて入ったのか。誰の紹介か、どの媒体か。
  • 入社時の期待:本人が何を求めていたか。こちらが何を期待して採ったか。
  • つまずいた場所:いつ、どの場面で歯車が狂い始めたか。人間関係か、業務内容か、評価か。

数人分を横に並べると、不思議と景色が変わります。「給与の見せ方で期待を上げすぎていた」「最初の1か月の放置が共通している」といった、個人を超えたパターンが浮かび上がってくるのです。

共通点は「入口」「期待」「最初のつまずき」に出やすい

実際に並べてみると、共通点は決まった場所に集まりやすい傾向があります。経営者として押さえておきたいのは次の3か所です。

入口(採用経路)の偏り

特定の媒体や、急いで埋めた枠から辞めやすい、ということは起こり得ます。「とにかく早く人が欲しかった」採用は、見極めが甘くなりがちです。経路ごとに定着の傾向を見ると、力を入れる入口とそうでない入口が分かれてきます。

期待のズレ

最も多いのが、入社前後の期待のギャップです。求人や面接で良い面ばかりを伝えると、入社後の現実との落差が大きくなります。「聞いていた話と違う」は、本人のわがままではなく、伝え方の問題であることが多いのです。

最初の30〜90日のつまずき

辞める人の多くは、初期に何らかの「置いていかれた感覚」を持っています。教える人がいない、質問しづらい、何を期待されているか分からない。この時期の体験が、その後の定着を大きく左右します。

共通点を「次の採用要件」に翻訳する

パターンが見えたら、次はそれを採用要件に反映します。ここが分析を成果に変える肝です。たとえば「自走を期待していたのに、指示待ちの人が続いて辞めた」なら、求める人物像に『自分で段取りを組める』を明文化し、面接でそれを確かめる質問を用意します。

  • つまずきの裏返しを必須要件に加える(例:チーム内の摩擦が原因なら「協調性」を具体行動で定義)
  • 「あったら嬉しい」と「これがないと続かない」を分けて書く
  • 過去に活躍した人の共通点も同時に洗い出し、要件の精度を上げる

大切なのは、感覚的な「いい人」ではなく、自社で続いて活躍する条件を言葉にすることです。要件が言葉になって初めて、面接でブレずに見極められます。

選考と受け入れで「ズレ」を先に潰す

要件を直しても、それを確かめる選考と、入社後の受け入れが伴わなければ繰り返しは止まりません。仕組みとして次の手当てをしておきます。

選考でリアルを見せる

良い面だけでなく、大変な面も正直に伝えます。「残業はこういう時期に出る」「最初は地味な仕事が多い」。あえて現実を見せることで、入る前に本人が納得して選べます。これは候補者を減らす行為に見えて、実は早期離職という最も高くつくミスを防ぐ投資です。

最初の90日を設計する

誰が、いつ、何を教えるか。1週間後・1か月後に何ができていればいいか。これを紙一枚でいいので決めておく。受け入れを個人の善意任せにせず、仕組みにするだけで、初期のつまずきは大きく減ります。

仕組みにして、回し続ける

一度きりの分析では、また風化します。退職が出るたびに3つの切り口で記録し、半年に一度まとめて見返す。この習慣自体を仕組みにしてしまうのが理想です。退職は痛い出来事ですが、見方を変えれば「自社の採用と受け入れの弱点を教えてくれるデータ」でもあります。感情で蓋をせず、事実として受け止め、次の一手に変えていく。その積み重ねが、ミスマッチを繰り返さない組織をつくります。

まとめ

辞めた人を個人の問題で片付けず、入社経緯・期待・つまずきの3つの切り口で並べてみる。すると個人を超えた共通点が見えてきます。それを採用要件の言葉に翻訳し、選考でリアルを見せ、最初の90日を設計する。そして退職のたびに記録して見返す仕組みにする。感情論ではなく仕組みで止める——この地道な作業こそが、同じ失敗を繰り返さないいちばんの近道です。まずは直近で辞めた数人を、紙に書き出すところから始めてみてください。

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