中小企業の一人当たり採用コストの考え方|内訳と下げる打ち手

2026.07.05
応募を増やす(募集・母集団)

「求人媒体にあれだけ払ったのに、採れたのは一人だけ」。採用にかかった費用を振り返って、ため息が出た経験はないでしょうか。中小企業の経営者・採用担当の方から、よくうかがう愚痴です。

先にお伝えしたい結論があります。一人当たり採用コスト(採用単価)を下げる分かれ目は、媒体費の値切りではなく「見えていないコストまで含めて分解し、媒体依存から少しずつ抜けられるか」にあります。金額の大小より、コストの構造をどう捉えるかです。

金額には幅があります。ある採用支援の解説では、採用には求人媒体などに払う費用だけでなく、社内の工数という「2つ目のコスト」がかかると語られています(出典:YouTube「人材採用には2つのコストがかかる」)。見えている支出は、氷山の一角にすぎません。

本記事では、採用単価とは何か、内訳の分解、新卒と中途の違い、コストが膨らむパターン、下げる5つの打ち手、採用代行の是非を順に解説します。具体的な金額の断定は避け、自社で判断するための「考え方」を中心にまとめました。お役に立てればうれしく思います。

一人当たり採用コスト(採用単価)とは何か

一人当たり採用コストとは、1人を採用するためにかかった費用の総額を、採用人数で割った金額のことです。求人媒体費だけを見て「安く済んだ」と考えると、実態を見誤ります。まずは、この指標が何を指すのかを言葉にしておきましょう。

一人当たり採用コストの考え方 3つの基礎

まず「何を・どう見るか」を押さえてから、下げる場所を決めます

POINT 1

総額 ÷ 採用人数 で算出する

かかった費用の総額を採れた人数で割る。同じ総額でも採用人数が違えば単価は大きく変わります。

POINT 2

外部コストと内部コストの合算で見る

社外に払う媒体費だけでなく、面接や選考にかかる社内工数(人件費)も足して考えます。

POINT 3

媒体費だけでは実態が見えない

見えている支出は氷山の一角。見えにくい内部コストや機会損失こそが単価を押し上げます。

採用コストは「外部コスト」と「内部コスト」に分かれる

採用にかかるお金は、社外に支払う「外部コスト」と、社内で発生する「内部コスト」の2つに分かれます。外部コストとは、求人媒体費や人材紹介の成功報酬など、社外へ払う費用のことです。請求書が届くので、金額は見えやすいですね。

一方の内部コストは、書類選考・面接・候補者への連絡にかかる社員の人件費(工数)を指します。請求書は来ないのに、確実に発生しているのがやっかいなところです。ある解説でも、採用には媒体費と社内工数の2つのコストがかかると整理されています(出典:YouTube「人材採用には2つのコストがかかる」)。両方を足して初めて、本当のコストが見えてきます。

一人当たりで見ないと本当のコストは見えない

同じ100万円の採用費でも、1人採れた会社と5人採れた会社では、意味がまったく違います。前者の単価は100万円、後者は20万円です。総額だけを眺めていると、この差が見えません。だからこそ「一人当たり」で割り戻すことに意味があります。

私がこれまで採用のご相談をうかがう中でも、総額の予算は気にしていても、単価まで出している会社は多くありませんでした。まずは直近1年の採用費を採用人数で割ってみる。それだけで、自社の立ち位置がぐっと具体的になります。難しい計算はいりません。

中小企業の一人当たり採用コストの内訳を分解する

採用コストは、大きく外部コスト・内部コスト・機会損失の3層で構成されます。見えている媒体費は氷山の一角で、社内の人件費や採れないことによる損失のほうが重いこともあります。まずは自社のコストを3層に分けて棚卸ししてみましょう。

一人当たり採用コストの内訳 3層

見えている媒体費は氷山の一角。3層に分けて棚卸しします

具体例見えやすさ
外部コスト 求人媒体費/人材紹介の成功報酬/採用広告費 ○ 見えやすい
内部コスト 書類選考・面接の工数/候補者対応・日程調整の人件費 △ 見えにくい
機会損失 欠員による残業増/受けられない受注・断る仕事 × 見えにくい

外部コストは請求書で把握できますが、内部コストと機会損失は数字にしにくく、単価を見誤る原因になりがちです。

外部コスト:求人媒体費・紹介手数料・広告費

外部コストは、いちばん目に見えやすい費用です。求人媒体への掲載料、人材紹介会社に払う成功報酬、SNSや検索連動の採用広告費などが含まれます。とくに人材紹介の成功報酬は、採用者の想定年収の一定割合という形が多く、まとまった金額になりがちです。

ここは請求書で把握できるので、集計は難しくありません。まずは1年分の外部コストを、媒体別・チャネル別に並べてみましょう。どのチャネルにいくら払い、何人採れたかを突き合わせると、費用対効果の良し悪しが見えてきます。意外と特定の媒体に偏っているものです。

内部コスト:面接や書類選考にかかる社内人件費

見落とされがちなのが、内部コストです。求人票の作成、応募者への返信、日程調整、面接の実施と評価。これらはすべて、社員の時間、つまり人件費で成り立っています。採用担当が専任でない中小企業ほど、この工数は他の業務を圧迫します。

たとえば1人の採用に社長と現場責任者が何度も面接に出れば、その時間分の人件費が積み上がります。数字にしにくいからと無視すると、本当の採用単価を大きく見誤ることになります。ざっくりでよいので、「1採用あたり延べ何時間かけているか」を出してみてはどうでしょうか。

見落としがちな「採れないこと」による機会損失

3層目は、機会損失です。人が採れないまま欠員が続くと、既存社員の残業が増え、受けられたはずの仕事を断ることもあります。これは会計上の「採用費」には出てきませんが、経営には確実に効いてくるコストです。

ある採用支援では、経営者が採用前に見るべき数字として、固定費が増える恐怖とその乗り越え方が語られています(出典:YouTube「『固定費が増える恐怖』を乗り越える!経営者が採用前に見るべき2つの数字」)。採用にはお金がかかりますが、採れないことにもコストがかかる。この両にらみが、冷静な判断につながります。

新卒と中途で採用単価の考え方はどう違うか

採用単価は、新卒か中途か、職種は何かによって幅が出ます。一律の「相場」を当てはめるより、自社の職種・チャネルごとに実額を把握するほうが役立ちます。ここでは、単価が動く要因を整理しましょう。

新卒採用は媒体費が先行しやすい

新卒採用は、母集団を早い時期から集めるために、ナビサイトや合同説明会などへ先行して費用がかかりやすい特徴があります。採用が決まる前から支出が始まるため、計画的な予算管理が欠かせません。ある解説でも、新卒採用の一人当たり単価やコストの内訳、必要な媒体が具体的に語られています(出典:YouTube「新卒採用のコストってどのぐらい?一人当たりの単価から全体的にかかるコストの内訳」)。

ここで注意したいのが、金額の一律な暗記は役に立ちにくいことです。就職みらい研究所の『就職白書』のような公開調査でも年度や条件で数字は動きます。他社の相場を追うより、自社の実額を出すほうが、判断の助けになります。

中途・専門職は紹介手数料が単価を押し上げる

中途採用、とくに専門職やマネジメント層では、人材紹介経由が中心になりやすく、成功報酬型の紹介手数料が単価を押し上げます。想定年収に連動するため、年収の高いポジションほど一人当たりのコストは大きくなる傾向があります。

だからといって、紹介がすべて悪いわけではありません。急ぎで確実に採りたいポジションでは、有効な選択肢です。大切なのは、ポジションごとに「どのチャネルが単価に見合うか」を分けて考えることです。すべてを紹介に頼ると、単価は膨らみやすくなります。使いどころの見極めが鍵になりますね。

採用コストが高くなる中小企業の共通パターン

採用単価が膨らむ会社には、いくつかの共通パターンがあります。媒体への依存、選考の長期化、母集団の設計不足。原因を先に押さえておくと、下げる打ち手も見えてきます。まずは自社が当てはまっていないか点検してみましょう。

求人媒体だけに頼り、更新のたびに費用が出ていく

もっとも多いのが、求人媒体への一本足打法です。応募が欲しいたびに掲載を更新し、そのつど費用が出ていく。掲載を止めれば応募も止まるため、費用を減らせない構造に陥りやすいのです。フロー型の支出だけで採用を回している状態、と言い換えてもよいでしょう。

ある実践者は、若手が採れている成長企業の採用予算の考え方を紹介しています(出典:YouTube「【実績1000社】若手が採れてる成長企業の採用予算を教えます」)。要点は、払い続けないと止まる支出だけに頼らないという発想です。次章で触れる「積み上がる資産」への投資と、バランスを取りたいところです。

選考が長引き、社内の工数(内部コスト)が膨らむ

もう1つのパターンが、選考の長期化です。面接の回数が多い、日程調整に時間がかかる、合否連絡が遅い。こうした遅れは、社内工数という内部コストを増やすだけでなく、候補者の辞退も招きます。手間をかけたのに採れない、という最悪の展開になりかねません。

とくに中小企業では、社長や現場責任者が面接に出る分、遅延の影響が大きく出ます。選考が長引くほど、内部コストと辞退の両方が単価を押し上げるのです。次章の打ち手でも触れますが、選考の短縮は、費用をかけずに単価を下げられる数少ない手段の1つです。

一人当たり採用コストを下げる5つの打ち手

採用単価を下げる近道は、媒体費の値切りではありません。媒体依存から抜け、自社に応募が集まる仕組みを少しずつ作ることです。中小企業でも今日から着手できる5つの打ち手を、順番に紹介します。

採用コストを下げる 5つの打ち手 自己点検

自社で着手できているものにチェックを入れてみてください

  • 求人媒体だけに頼らず、ハローワーク・自社サイト・SNS・紹介など費用構造の違う入口を複数持つ。

  • 社員の知人紹介で外部コストを抑える。少額のインセンティブと声かけの仕組みから始められる。

  • 応募前に検索する求職者の受け皿を用意。一度作れば積み上がる「資産型」の投資になる。

  • 面接回数を絞り、日程調整と合否連絡を速める。内部コストと候補者の辞退を同時に減らせる。

  • 「忙しいから」ではなく、外注で減る内部コストと外注費を一人当たりの単価で比べて決める。

打ち手1:媒体依存から抜け、チャネルを分散する

最初の打ち手は、チャネルの分散です。求人媒体だけに頼ると、支出は減らせません。ハローワーク、自社サイト、SNS、リファラルなど、費用構造の違う入口を複数持つことで、媒体への依存度を下げていきます。すべてを一度に始める必要はありません。

ある解説では、採用コストを極限まで抑える方法が紹介されています(出典:YouTube「【中小企業必見】採用コストを極限まで抑える方法!」)。共通するのは、お金をかけずに応募を得る入口を持つという発想です。まずは今、媒体に何割依存しているかを把握し、1つでも別の入口を試すところから始めてみてください。

打ち手2:リファラル(社員紹介)で外部コストを抑える

リファラル採用とは、自社の社員から知人・友人を紹介してもらう採用手法のことです。媒体費や紹介手数料といった外部コストがかかりにくく、ミスマッチも起きにくいのが利点です。すでに社風を知る社員が「合いそう」と思って紹介するため、定着にもつながりやすいのです。

ある書籍要約でも、予算をかけずに良い人材を採る発想が解説されています(出典:YouTube「【採用手法】書籍要約:予算ゼロでも最高の人材が採れるまちがえない採用」)。紹介制度は、少額のインセンティブや声かけの仕組みだけで始められます。私は、お金より「社員が紹介したくなる会社であること」が土台になる打ち手だと考えています。

打ち手3:自社の採用ページを強化して受け皿を作る

3つ目は、自社の採用ページを整えることです。媒体やSNSで興味を持った求職者は、応募前に会社名で検索します。その受け皿となる採用ページが弱いと、そこで離脱してしまうのです。採用ページは、一度作れば積み上がる「資産型」の投資でもあります。

仕事内容の具体、社員の声、待遇の実数を正直に載せる。それだけで、媒体に頼らずとも応募につながる土台ができます。作り方の詳細は中小企業の採用ページの作り方|応募につながる7つの必須要素にまとめました。払い続ける支出から、積み上がる資産へ。単価を中長期で下げる要になります。

打ち手4:選考を短くし、内部コストと辞退を減らす

4つ目は、選考プロセスの短縮です。面接回数を必要十分まで絞り、日程調整をスピーディにし、合否連絡を早める。これだけで内部コスト(社内工数)が減り、候補者の辞退も抑えられます。費用をかけずに単価を下げられる、費用対効果の高い一手です。

たとえば「一次面接はオンラインで30分」「合否は3営業日以内」といった型を決めるだけでも、動きは速くなります。スピードそのものが、中小企業の武器になるのです。大手が何週間もかけるところを、意思決定の近さで数日に縮められる。ここは遠慮せず活かしたいですね。

打ち手5:採用代行(RPO)の是非を単価で判断する

5つ目は、採用代行(RPO)の活用を検討することです。ただし「頼めば安くなる」とは限りません。判断の軸は、外注で減る内部コストと、支払う外注費のどちらが大きいか。これを一人当たりの単価で比べることです。詳しくは次章で掘り下げます。

自社に採用の専任者がおらず、工数が慢性的に足りない会社ほど、外注で内部コストを圧縮できる余地があります。一方で、任せきりにすると自社にノウハウが残りません。選び方は採用代行(RPO)とは?中小企業の失敗しない選び方も参考になります。単価で比べて、部分的に使うのが現実的な落としどころです。

採用代行(RPO)はコスト削減になるのか

採用代行は、使い方しだいでコストを下げることも、増やすこともあります。社内工数の削減と外注費のどちらが大きいかを、一人当たりの単価で比べるのが判断の軸です。ここでは、向く場合と向かない場合を整理しましょう。

採用代行(RPO)とは何か・どこまで任せられるか

採用代行(RPO)とは、Recruitment Process Outsourcingの略で、採用業務の一部または全部を外部の専門会社に委託する仕組みのことです。求人票の作成、応募者対応、日程調整、スカウト送信など、工数のかかる実務を任せられます。面接の最終判断は自社に残すのが一般的です。

任せる範囲は、会社によって柔軟に選べます。「応募者対応だけ」「スカウト業務だけ」と部分委託できるのが、中小企業には使いやすいポイントです。すべてを丸投げするより、自社の手が回らない工程だけを切り出すほうが、単価もコントロールしやすくなります。

内部コスト削減と外注費を単価で比べる

採用代行がコスト削減になるかどうかは、単価での比較で見えてきます。判断のポイントを整理してみましょう。

採用代行の是非を「単価」で判断する 4ステップ

感覚でなく、内部コストと外注費の比較で決めます

STEP 1

現状の内部コストを算出

採用にかかる社内工数 × 人件費を出し、今の内部コストを把握する。

STEP 2

外注で減る工数を見積もる

応募者対応・日程調整など、任せれば減る工数を切り出して見積もる。

STEP 3

外注費と削減額を比較

支払う外注費と、削減できる内部コストのどちらが大きいかを比べる。

STEP 4

部分委託の範囲を決める

丸投げせず、単価が下がる工程だけを部分的に委託する範囲を決める。

専任者がおらず工数が足りない会社ほど、外注で単価が下がる余地があります。

自社に採用の専任者がいない、応募者対応に社員が追われている。そんな会社では、外注で減る内部コストが外注費を上回りやすく、単価が下がる余地があります。逆に、社内で無理なく回せているなら、外注費が上乗せされるだけになりかねません。「忙しいから」ではなく「単価が下がるか」で決めるのが、後悔しない判断軸です。

一人で抱えず、採用コストの悩みから整理する

採用コストの見直しは、数字を分解すれば方向性が見えるものですが、「どこから手をつけるか」は会社ごとに違います。単価が高い原因が、媒体なのか、選考なのか、母集団なのかの切り分けも大切です。迷ったら、まず現状の愚痴から整理してみませんか。

採用単価が高い原因は1つとは限らない

採用単価が高い理由は、1つに絞れないことがほとんどです。媒体への依存、選考の長期化、母集団の設計不足、条件と相場のずれ。複数の要因が絡み合って、単価を押し上げているのが実際のところです。1か所だけ直しても、他が詰まっていれば成果は出ません。

だからこそ、順番が大切です。まず外部コスト・内部コスト・母集団のどこに詰まりがあるかを切り分ける。そのうえで、効くところから手を入れる。母集団づくりの全体像は中小企業の採用|大手と競わず母集団形成で応募を集めるも参考になります。見極めができると、限られた予算を無駄にせずにすみます。

採用コストの悩みを言葉にすることが第一歩

「何から手をつければいいか分からない」。そんなときは、まず愚痴を言葉にするところから始めてみてください。頭の中のモヤモヤを口に出すだけで、原因の当たりがついてくることは少なくありません。完璧なコスト管理など、どこにもないのです。単価を少し下げるだけで、景色は変わります。

ジンザイラボでは「その採用の愚痴、聞かせてください」を合言葉に、オンライン相談の申し込みを受け付けています。売り込みではなく、採用単価が高い原因を一緒に切り分けるところから始めます。まず1つだけ試すなら、現状を話してみることから。気負わずご活用ください。

よくある質問(FAQ)

Q. 中小企業の一人当たり採用コストの相場はいくらですか?

一律の相場を当てはめるのは、あまりおすすめしていません。採用単価は新卒か中途か、職種、使うチャネルによって大きく幅が出るためです。就職みらい研究所の『就職白書』のような公開調査でも、条件によって数字は動きます。他社の相場を追うより、自社の直近1年の採用費(外部コスト+内部コスト)を採用人数で割り、実額を把握するのが確実です。数字は自社で出してこそ、判断に使えます。

Q. 採用コストには何が含まれますか?

大きく外部コストと内部コストに分かれます。外部コストは求人媒体費、人材紹介の成功報酬、採用広告費など、社外へ支払う費用です。内部コストは、書類選考・面接・候補者への連絡にかかる社員の人件費(工数)を指します。加えて、採れないことで生じる残業増や機会損失も、広い意味では採用にまつわるコストです。媒体費だけを見ると実態を見誤るので、3つの視点で棚卸しすることをおすすめします。

Q. 採用コストを下げるには、まず何から手をつければいいですか?

最初に、自社の一人当たり採用コストを外部・内部の両面で算出してみてください。どこにお金と時間が集中しているかが見えると、打ち手の優先順位が決まります。多くの場合、求人媒体への依存を減らし、リファラル(社員紹介)や自社の採用ページといった、費用が積み上がりにくいチャネルを育てるのが効果的です。値切りより、仕組みづくりに目を向けるのが近道になります。

Q. リファラル採用は本当にコストがかからないのですか?

外部コストは抑えられますが、まったくのゼロではありません。紹介してくれた社員へのインセンティブや、制度を運用する手間はかかります。ただ、媒体費や紹介手数料に比べれば小さく、ミスマッチが起きにくいぶん定着にもつながりやすい手法です。金額よりも「社員が知人に紹介したくなる会社であること」が土台になります。まずは声かけの仕組みから、小さく始めてみるとよいでしょう。

Q. 採用代行に頼むと、かえって高くつくことはありますか?

あります。社内で無理なく採用が回っている会社が丸投げすると、外注費が上乗せされるだけになりかねません。判断の軸は、外注で減る内部コスト(社内工数)と、支払う外注費のどちらが大きいかを、一人当たりの単価で比べることです。専任者がおらず工数が足りない会社ほど、部分委託で単価が下がる余地があります。「忙しいから」ではなく「単価が下がるか」で決めるのが安全です。

Q. 採用単価をKPIにするうえで注意点はありますか?

単価だけを追いすぎると、質を見落とすリスクがあります。安く採れても、早期に辞めてしまえば採り直しの費用がかかり、結局は高くつくからです。採用単価は、定着率や入社後の活躍とセットで見るのが望ましい指標です。コストを下げること自体が目的化しないよう、「良い人が、無理のない費用で、長く働いてくれるか」という全体像で捉えるようにしましょう。

飯塚昭博

この記事の著者

飯塚 昭博

Akihiro Iitsuka

コントリ株式会社 代表取締役

青山学院大学卒業後、自動車会社にて年間180億円規模の設備調達を担当。中小企業経営者の想いに触れる中でその価値を伝えることに使命を感じ、2023年独立。経営者インタビューメディア「コントリ」を運営し、100社以上の経営者を取材。SEO・AI活用・発信設計を通じて中小企業の「伝わる発信」を支援している。

関連記事